2015年3月29日日曜日

ぶなニュース №17

復刻版 ぶなニュース 第17号 2002年8月1日発行

○千振尾根のブナ

7月20日~7月22日、「ブナの山旅」の著者である坪田さん推奨の白山・チブリ尾根へ。
夏のチブリ尾根はつまらないとも聞いていたが、出かけることにした。

 行程:

20日(土)小田原9:00発~明神峠~三國峠~山中湖~これより高速道路~中央高速八ヶ岳SA11:30~ 松本IC~新島々~安房トンネル~平湯14:00 遅い昼食~古川~国道360号線~白川郷 ~白山スーパー林道17:30~中宮温泉・木戸旅館着19:00同泊

21日(日)中宮温泉・木戸旅館発8:30~市ノ瀬・駐車場9:20~白山温泉・永井旅館で昼食の調達~ 登山開始10:00~別山方面・チブリ尾根12:30 4.7キロ地点で折り返し~市ノ瀬15:00~周辺の湿原散策 ~かんぽの郷白山尾口着17:00同泊

22日(月)かんぽの郷白山尾口発9:30~中宮温泉~白山スーパー林道~白川郷~御母衣ダム~ 荘川村~高山~国道41号線 ~中津川IC14:00~中央高速~駒ケ岳SA17:00~八ヶ岳SA18:30~山中湖19:30~籠坂峠~国道246号線~小田原着20:40

全走行距離990キロ。

 平湯の蕎麦屋で看板に手打ちと書いてあったので店に入ったところ、看板に偽りで、味も香りもこしもない ただの機械打ち麺の蕎麦が出てきた。腹が立ったが黙って食べた。 観光地の手打ち蕎麦屋と書いた店の殆んどは偽り表示である。いままでこのような看板で何回騙されたことか。 通りすがりの1回の客だと思って、このような商売がまかり通っているのだろう。雪印食品の牛肉偽装事件に始まり、世の中偽装だらけだ。低農薬、有機栽培、無農薬など、あてにならない表示。いったい何を信用したらよいのだろう。
  こういう店はたいがい蕎麦湯も出てこないので、大きな声で蕎麦湯と言ったらめんどくさそうな顔をして無愛想にテーブルに置いた。

 国道360号線は車のナビが指示したので、そのコースを選んだが、天生峠あたりは道路幅が狭く、運転し難い道であった。しかし、左右の道沿いにはブナがたくさんあり、車の量が少なければ気持ちよい道である。ただし山道なので走行にはかなりの時間と十分な注意を覚悟しなければならない。

 白山スーパー林道に入ったのは既に17時をまわっていた。既に家から8時間経っている。当初の計画では三方岩岳に登る予定であったが断念。車窓からブナを眺めることにした。道路のあちこちに”自然を大切に・・・”との看板が目にとまった。一番自然を破壊した関係者がたてた看板と思うとなんとなく違和感があった。このスーパー林道の建設により、どれだけの自然が壊されたか計り知れない。ブナも泣いている。大勢の仲間が切られたに違いない。 そういう小生も同罪だ。快適なこの道を利用している。 林道の数箇所では補修工事をしていたが、これも無理な急斜面に道路を作った結果だ。至るところで道路が崩れていた。その法面にコンクリートを多量に流し込んでいた。この道路がある限りこのような工事は続くのであろう。土建業者はありがたいが、ブナはたまったものではない。

 三方岩岳がよく見える瓢箪山の展望台に上る。途中薄ピンク色のササユリ(それともヒメサユリ?)が咲いていて 心が和む。綺麗な花だが奢っていない。 一輪極めてひかえめに咲いていた。まわりの木はクロベが多かった。ブナはまばら。

ササユリ



 19時に中宮温泉の木戸旅館に到着。この温泉街?はたった5軒で、直ぐに木戸旅館は分かった。風呂の前に夕食。料理は山菜を中心としたもので 満足。しかし、最後に出された馬刺しは余分であった。部屋が少々カビ臭かったが、総体的には良かった。

 市ノ瀬までの道はトンネルが多かったが、比較的良い道であった。一部狭いところもあったが問題なく走ることが出来た。ダムと多数のトンネル。これも自然破壊の最たるものであるが、このお蔭で誰もが簡単に白山へ近づくことが出来るようになったのも事実。市ノ瀬から別当出合までは一般車両は通行止めで、それより先はバスかタクシーに乗る。我々はここで車を置き、別山方面へ向かう。登り始めてから直ぐトチの大木がたくさんん現れ感動。ブナも良いがトチやカツラの大木古木も素晴らしい。大きな葉を広げ夏の紫外線を遮ってくれている。こんな入口から原生林を満喫できたのは初めての経験であった。小生すでにこの場所で大満足。たくさんの沢あり、冷たい新鮮な水が湧き出ているところもあり、気分は最高だ。それから草や木の葉が大きいことも驚きであった。ブナの葉は勿論、あらゆる植物の葉が大きい。土地がそれだけ肥えているのか?自然度が高いためか?気候が良いのか?何れにしても草木が生き生きしている。ゆっくり時間をかけて歩いたのでかなり予定時間をオーバー。まだブナはこれからなのに既にとば口で大満足。ここだけでも十分価値があるように思われた。何も頂上まで登る必要がないと思うほどだ。市ノ瀬から4.7キロ地点で昼食。眼下に別当出合と対峙する切り立った尾根を眺めての握り飯は美味い。それもそのはず1個200円の握り飯だ。市ノ瀬の永井旅館に頼み込んで作ってもらった貴重なオニギリだ。朝、コンビニがあると思って用意してこなかったからだ。昨日の蕎麦と違い200円でも安いと思った。3個入りで600円、懐かしい経木に包んであったのも嬉しい。現代人は経木も忘れてしまった。味気ない発砲スチロールのトレイやラップで包んだ合成保存料、香料入りのオニギリではなんとも味気ない。ブナやギボウシを眺めながら、ゆったりしたこの時間を堪能した。目的は達成した。後は引き返すだけ。思い出はいっぱい脳に刻まれた。何よりの収穫は市ノ瀬近くのトチとブナであった。 駐車場から1時間足らずで原生に近い森を満喫できるこの場所は満点だ。

 帰路、白川郷に寄るが、あの森を見た後なのでつまらない。普通の家が建築中だったり、合掌作りの家がほとんどみやげ物店、本当にここが世界遺産なのかと疑いたくなる。今に世界遺産を取り消されるのではと危惧。せめて普通の家は別な場所に建てさせ、このエリアには絶対建てさせない等厳しい制限が必要と思う。なぜならここは世界遺産だ。ただの観光地ではないはず。

千振尾根の美しいブナ達





オオバギボウシ

根元こぶブナ

クガイソウ

カツラの大木


湧水場

サンカヨウ

指尾山 天井壁

マイヅルソウ

ホツツジ

○角取山の定点観察

  7月27日、いつもの角取山へ、沢沿いの道は虫がたくさんいて閉口したが、 これも自然がなせる技と思い我慢。でも目の中に3回も虫が飛び込んできたのには驚いた。
 角取山には殆ど虫はいなかった。ブナが虫除けのなにか香りを出しているのだろうか?
 今回の収穫は子供ブナを多数発見したことだ。ここは世代交代がうまくいきそうな感じだ。 でも自然は脆弱、人が入ればたちまち壊されてしまう。我々も注意して歩かなければいけない。 ブナを愛する人間が一番ブナを傷めることになるからだ。
ここはミニ白山かも知れない。大切にしたい場所。

アザミ平ではカワラナデシコが既に咲いていた。山はもう秋に入ったようだ。 前回はシモツケがたくさん咲いていたが、今回はまばらだ。 季節は刻々と変化している。都会では気が付かないが、ここに来ると 五感で感ずることができる。