2003年8月27日、3年ぶりに堂平のブナ林を訪ねる。
これで3回目である。
いつものように車でヤビツ峠を越え、塩水橋に向かう。塩水川林道ゲート手前に車を置き、歩き出す。時間が遅いと土日は釣り人などが多く、駐車スペースの確保が困難になる。それにこの道は宮ヶ瀬ダムまで通じているので、幅員が狭いうえ、交通量も多い。車1台がやっと通れる幅のところがかなりある。連休などの行楽日は大渋滞になることもある。なるべく土日は避けたい。今日は水曜日なので、車も少なく、ほとんど対向車とすれ違うことがなかった。ヤビツ峠から混んでいなければ車で30分ほどで、塩水橋に着く。
塩水川林道のゲートは閉まっているので、右に少し迂回して入る。この林道は、堂平の入り口まで続いているので、工事車両が来ない限りのんびりと歩くことができる。難を言えば、砂防ダムがたくさんあることと、いつもどこかで土砂流出防止工事などが行われていることで、景観が悪い。この日も3箇所で工事を行なっていた。
入口ゲートから1kmぐらい歩くと分岐点があり、左に行けばキウハ沢方面、右が堂平方面。橋があるので、そこを渡って行く。簡易舗装の塩水川林道をダラダラと1時間程歩くと、右の沢の部分に堂平方面と書いた案内板がある。沢を渡り、今度は普通の山道に入ることになる。急がなければ塩水川林道をそのまま歩いてもよい。何れ堂平で合流する。
山道に入ると杉の暗い植林地を登ることになる。かなり急な道で、少し歩くと汗が吹き出てくる。30分ほどこの道を登ると、国土交通省の堂平雨量局の小屋のそばに出る。ここが塩水川林道と合流する地点だ。この林道を横断し、また杉の植林地の道に入る。ここの植林地は間伐と枝打ちがよく施されていて、明るい。林床には下草がたくさん生えていて、特に小さな白い花をつけたマツカゼソウが群生している。この花のまわりにアサギマダラの蝶も飛んでいた。気分のよい植林地である。
日本のほとんどの植林地は撫育管理をしないので、荒れ放題の状態だ。そのような場所の杉や檜は用材にならない。そして、大雨でも降れば土石流の原因にもなっている。
ここの杉林は素晴らしい。丹沢一かもしれない。
1時に塩水橋を出発して、堂平の杉林に着いたのが、2時30分。この気分のよい杉林で遅い昼食とする。ちょうど杉丸太の椅子が3個置いてあったので、そこにリュックを置く。アサギマダラやマルバダケブキの花にとまったカラスアゲハを見ながら、握り飯を頬張る。時間が無いので早々に食事を切り上げ、また杉の植林内の道を登る。この杉の植林地を出ると、そこが堂平のブナ林である。
ブナ林に入ると、前回来た時よりも斜面が荒れていて、倒木や根がむき出しになったブナが多い。今年の長雨と先の台風の影響であろうか?登山者がやたらにブナ林に入り地面を踏み固めたのも一因かもしれない。柵を設け立ち入り禁止にしなければ、近い将来、この斜面のブナ林は衰退するだろう。
突然上のほうで、動くものを見つける。良く見ると若い鹿が二頭こちらを警戒しながら逃げて行く。堂平のブナ林には鹿もたくさんいて、そこらじゅうに糞が落ちている。時間があればゆっくりとブナ林を堪能したいところだが、既に15時をまわってしまったので、心残りだが、引き返すことにした。
堂平のブナ林 2003年8月27日撮影
当日の動画は下記にあります。