2022年9月29日木曜日

北岳

 昨夜、知人から北岳の写真が届きました。

9/25(日)~9/27(水)にかけて、北岳バットレスに行ってきました。

初の本チャンです。

今回、ベテランリーダーと若手2人の3人パーティーで登攀。北岳バットレスは大きく分けると下部岩壁と第4尾根本体の2行程に分かれ、下部岩壁についてはルート取りの選択肢が色々とありますが、今回は第5尾根の支稜から横断バンドを横切り、その後Cガリー~ヒドゥンスラブは通らずに横断バンドの途中にあるⅢ級程度の岩場から第4尾根にアプローチしました。

このルート取りでは、下部岩壁が9~10ピッチ、4尾根本体が9ピッチ。全行程は19ピッチ程度でした。

我々が登った下部岩壁のⅢ級程度の岩場は途中、ジャミングを決めながらクラックを登るなど実際の体感ではⅣ級くらいに思え、また行程は4ピッチ~5ピッチ程度で長く、ルート取りを考える箇所も出てくることから、意外に手強いと感じました。

一方、他パーティーに伺ったところ、Cガリー~ヒドゥンスラブ経由の場合、ヒドゥンスラブで1ピッチロープを出しただけとのこと。どうやらそちらのほうが早く済ませられるようでした。

第4尾根取りつき~マッチ箱の懸垂までの5Pでは私がトップを担当。ルート渋滞はあるものの白い岩のクラックのピッチまでは特に問題を感じませんでしたが、その後、三角形の垂壁でピッチを切らずにマッチ箱まで行こうとしたところ、マッチ箱の上、終了点の5mほど前でロープ残量も5mとのコールがかかってしまいました。そこではカムで支点が作れたので、念のためロープ残量0を避けるためにその場で支点構築~フォローを確保~フォローには三角形前のテラスまであがってもらった後、再びロープダウンしビレイしてもらいました。そして5m先の終了点に到達して再び支点構築~フォローを確保。ピッチを切らない判断ミスにより、時間ロス及びマッチ箱の上でのトラブル対処で集中力を消耗しました。

その結果、マッチ箱懸垂後の時点で日没まで残り約2時間半。下部岩壁+ルート渋滞+自分のミスなど、これまで積み重なった現場事情で日没までの残り時間が少なくなってしまった状況で、本チャンが初めてかつ直前のマッチ箱の対処で集中力を消耗した自分では無休憩でトップは対処しきれないと感じ、時間を無駄にしないためにここでリーダーにトップ交代を申し出ました。

その後のスラブ~城塞ハングまでの4ピッチは再びリーダーにトップを担当して頂きました。さすがにリーダーは速い、というより、なおも先行パーティーがいるなど長大な本チャン特有の事情の中で時間を無駄にしないようパーティーを導くのが上手い。これまでの自分のピッチと比較して経験の差を感じました。

結果、自分がトップを担当できた全行程の1/4程度。もう少し貢献したかったというのが本音です。単純なフィジカルではなく、現場経験の少なさという力不足を感じました。

しかし、アルパインではスピードが一番大事と、これまで言葉で教わってきたことが現場で身に染みた、貴重な本チャンデビューでもありました。これからも頑張って行きたいと思います。

○下部岩壁(フォロー:10P程度)

 第5尾根支稜(3P)→横断バンド(2P)→Ⅲ級の岩場(記憶では4Pか5P)

○第4尾根(マッチ箱懸垂までトップ、後半フォロー:9P)

 第4尾根取りつき→マッチ箱(5P)→マッチ箱懸垂→城塞ハングを越えて終了点(4P)

以上です。

朝の北岳バットレス全景
ITさん撮影(以下同じ)

第5尾根支稜より取りつきます。

隣には十字クラックがあります。

第4尾根取りつき。
先行パーティーのザイルがある箇所がラインです。

ここまで写真が取れませんでしたが無事にルート完了。
後はクライミング装備を解除し山頂まで草付きを登ります。

無事に山頂にトップアウト

もう夕暮れです。
後は御池小屋まで長い下山をこなし、
無事にテントまで戻りました。

第4尾根拡大
写真中央の鉤爪のような小さな突起がマッチ箱、
その右上にある日が当たった壁が城塞ハングです。

GPSログ

第四尾根取りつきからの鳳凰三山