○三國山の定点観察
8月24日土曜日、三國山へ。天気は霧。
小田原を12時頃出発。三國峠着13時。
峠には既に車が3台止まっていた。三國山の方から下ってきた中高年男性3人組を見る。これから更に鉄砲木ノ頭に登るようだ。なにやら地図を広げ話し合っていた。 我々はこれから三國山を目指す。この峠から三國山までは道標によると25分と書いてある。ゆっくり登っても13時半には頂上に着く。霧のため視界は悪い。50メートル先は霧の中だ。ぶな林と霧は良く似合う。このなんともいえない幻想的な風景がたまらない。夏はいつもこの付近は霧に包まれている。ブナはこの霧が好きなのである。
頂上には予定どおり13時半頃到着。ここで遅い昼飯にする。
いつものオニギリと大判焼だ。じっとしていると肌寒いので、リュックからウインドブレーカーを取り出す。 霧とブナ、いつ見ても心が落ち着く風景だ。霧でブナの葉がひっとリと濡れ、艶やかな緑を演出している。オニギリを食べながらウロウロ。こっちのブナ、あっちのブナを見上げる。みんな一生懸命生きている。文句も言わず、黙って精一杯生きている。いつもこのようなブナを見ると勇気づけられ、元気も与えてくれる。
30分程休憩し、更にヅナ峠を目指す。視界は更に悪くない20メートル先もぼんやり霞んでいる。誰にも会わない。静けさだけが辺りを包み込んでいる。
ヅナ峠には15分程で到着。時計を見るとまだ早いので、更にここから右折し間道を行くことにした。この峠道はお気に入りの道で、ここに来るといつも感動を与えてくれる。
人とまず会うことがない。道が踏み荒らされていない。落ち葉の絨毯が足首を楽にしてくれる。自然度が高い。子供のブナを沢山見ることが出来る。ミツバツツジの若木も沢山生えている。 三國山稜最大のブナ(410センチ)があること。ミズナラのお化け大木にも会えること。
これらの条件が揃ったところはいまのところ、ここ以外にない。山中湖の月見ヶ丘別荘地からも30分ほどで入ることが出来る。
間道を下り始めてすぐのところに太さ20センチほどの若いブナが倒れていた。前回は気が付かなかったので、先の台風で倒れたのであろう。
更にこの間道を進むと今度はヒメシャラの木がやはり倒れていた。
日当たりのよい下り斜面にさしかかると、ミツバツツジの若木とブナの子供が沢山顔を見せる。ここのブナ林は世代交代も順調のようだ。いつまでもこの環境を維持して欲しいものだ。
410センチの大ブナに近づくといつも気分が最高潮になるから不思議だ。先の台風で周囲の葉が落ちたせいか、見通しが良い。それにここまで下ると霧も晴れている。
10分ほど、このブナとお化けミズナラを見て引き返す。
三國山山頂のブナ 平成14年8月24日撮影
ヅナ峠間道の大ブナ(410センチ) 平成14年8月24日撮影
○秋の七草
「なでしこのその花にもが朝な朝な手に取り持ちて恋ひぬ日なけむ」大伴家持。万葉集より。
家持はナデシコが好きだったようで、万葉集に11首もナデシコの歌を詠んでいる。
秋の七草はご承知のように、ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウの7種 である。
○森から生きる知恵を
森から現代社会に生きる知恵を学ぼう・・・。
そんな願いを込めて、丹沢を拠点に創刊された「森の手帖」が読者の輪を全国的に広げている。
購読料の一部は「樹の基金」として森のコリドー(緑の回廊)づくりの資金にあてられる。
1冊500円(B6判)森の出版社発行、電話 045-212-2975
(平成14年8月23日付け神奈川新聞)
○森からの伝言
テレビのニュースを見ていていつも思うことがあります。
それは、「自分たちの国土や四季にたいする想いが変だ」ということです。 自然はいくら悪口を言われても何も言わない。で、暑いとか寒いとか・・・
そんないいがかりばかりつけている。天候の異変を炭酸ガスによる温暖化に結びつけても 、その原因はまるで他人事のよう。
祖国の四季も自然も敬うべきもの。お天道様の悪口を言う暇があるなら、無駄に灯って いる部屋の電気を消そう。夜は暗い方が自然だ。
田渕 義雄(作家)
(平成14年8月24日付け日本経済新聞より)