○富士山の巨大ブナ群
平成14年5月1日(水曜日)、富士山の幕岩近くの巨大ブナを探索。
御殿場駅前午前9時、BUNAさんと待ち合わせ。私は家を車で7時30分に出発。御殿場駅前には8時10分ごろ着。まだ時間があるので近くのコンビニでオニギリ等を調達。BUNAさんご夫妻は9時丁度に到着。初対面の挨拶を交わし、一路富士山の水ヶ塚へ。水ヶ塚公園駐車場に9時50分着。本来は私が道案内をしなければならないが、既にBUNAさんが事前調査し、所在場所の地図などを入手されていた。それらを参考に探索を開始する。御胎内、幕岩を目印に地図に従って探す。しかし、なかなか巨大ブナは現れない。同じような登山道を行ったり来たりしているうちに、それらしき進入路を発見。ここを行くことにした。1時間ほどスズタケのトンネルを腰をかがめながら進む。しかし、いっこうにそれらしきところに出ない。それでもあきらめずに更に進んだところ、とうとう道は細くなり、先に進むことができない。どうやら道を間違えたらしい。この時すでに時計は11時を回っていた。スズタケのトンネルをユーターンし、引き返す。眼には笹が入るし、ズボンと上着は泥だらけになってしまった。ことによるとブナ大王の機嫌を損ねてしまったのか?なかなか出てきてくれない。1回や2回の訪問ではだめなのか?少しあきらめムードになる。いったん水ヶ塚公園まで引き返すことにした。ここで腹ごしらえをして、再挑戦することに決定。私はいつものコンビにのオニギリとお茶で簡単な食事。「果たしてブナ大王は我々を気持ちよく迎えてくれるのであろうか?」30分ほど休憩し再出発。
今度はコースを間違えないように自動車道から進入路を探す。水ヶ塚公園から1キロ程下がったところにそれらしき登山道を発見。ここから慎重に地図上のコースを辿ることにした。30分ほど歩くと、午前中歩いた場所にでる。道路標識が抜かれている場所だ。この道路標識のためにどうやら間違えたようだ。今度は更に先に進み右に入る道を探す。しばらくすると浅木塚と書いた標識があり、どうやらここが巨大ブナの進入路らしい。この道はスズタケがきれいに刈ってある。まったく苦もなく進むことができた。途中2・3の倒木が道を塞いていたが、コースを見誤ることはない。はやる気持ちを抑えながら歩いていたが、そのうちBUNAさんを追い越し、どんどん先に進む。いつもの癖がでてしまった。突然視界が開けた場所に出ると、3頭の鹿が気配を感じてか、急に逃げて行った。大自然の真っ只中にいる実感を味わう。鹿の糞の臭いも漂って、余韻のようなものを感じた。更に行くと左側に大きなミズナラの木が聳えている。その奥を見ると大きな枝振りのブナが霧の間から幽かに見える。一瞬「これだ!」と叫ぶ。BUNAさんが来ない。 大きな声で叫ぶ。そのうちBUNAさんから携帯が入る。どうやらBUNAさんらも探したらしい。「それはボスであろうか?それともナンバーツーなのか?」私の方は間違えなく大王の威厳がある。どうやらBUNAさんの方は大王ではないらしい。私は得意げに案内役にまわる。よく考えればこのブナ探検の主役はBUNAさんである。そう自分に言い聞かせ自制する。私も興奮しているが、BUNAさんの目も輝いている。どうやら満足していただいたようだ。早速BUNAさんはブナ大王を計測。測る位置にもよるが、やはり5メートル以上ある。根の広がりもすばらしい。このときは更にこの奥に本命が居ようとは分からなかった。その後このブナはナンバーツーであることが分かる。やはり大王は奥に控えていた。前から見るとさほどでもなかったが左側から眺めると確かにデカイ。根元のすぐ上から8本大きく幹を伸ばしている。8本の大木が集まったようにも見える。さすが富士ブナ大王の貫禄だ。ほかにも重量級が数本ある。ここは本当に巨樹・巨木の森である。太古の自然がそのまま残っている。幻想的な霧の中に彼らは悠然とそこに何百年も立ち続けている。「彼らに比べ、なんと人間はちっぽけなのだろう」。ただただ頭の下がる思いがした。ちょうど計測と撮影が済んだ後、雨が降ってくる。大王がそれまで、雨を我々のために止めたようだ。大王とその臣下に感謝し、別れを告げ帰路につく。
東名高速で交通事故があり、少し渋滞。事故現場には車が一台腹を上にして倒れていた。BUNAさんご夫妻を国府津駅まで送る。国府津駅着17時5分であった。再会を約し別れる。
富士山のブナ大王 幹回り650㎝
樹形が美しいナンバースリーのブナ 幹回り500㎝
○樹海の四季
4月29日、NHK総合19時30分~20時45分、富士山の青木ヶ原樹海を放送。
過去の噴火による溶岩の流出から免れた場所は大室山で、今もミズナラやブナの大木が茂る。
○ゴルフのクラブは昔ブナ使用
スコットランドで発展したゴルフクラブの素材はほとんどがブナ(ビーチ)であった。
ブナの使用は1590年に始まり、その後300年間使われた。
英語の古語で、このブナは「buck」と呼ばれ、ロンドンの西方、バッキンガムの地名となった。
書物をブックと読んだのも紙が普及する前の時代にブナなどの樹皮に文字を書いたのが語源となった。
(平成14年5月2日付け日本経済新聞夕刊より)
○森の巨人の物語
毎週土曜日よる6時30分よりBSジャパンで放送中。
林野庁選定の「森の巨人たち百選」に選ばれた巨樹、巨木を紹介する番組。
○幕岩周辺を再度探索
5月3日金曜日、天気が良かったので再度富士山の幕岩周辺を訪ねた。
この場所にある3メートル以上のブナを計測した。
①登山道(浅木塚林道)から見て右手前のブナ・・・502cm
②登山道左側少し奥・・・・552cm
③中央の喧嘩ブナ・・・530cm
④奥右のブナ大王・・・650cm
⑤奥ブナ大王の左隣・・・322cm
⑥上記のすぐ上のブナ・・・・313cm
⑦奥左側・・・・374cm
①~⑦のブナは半径100メートル以内の範囲にある。