○山伏峠~菰釣山のブナ
7月14日、あいつぐ台風の来襲で不安定な天気が続く。 当日も雨が心配されたが、どうにか降られずに一日中山歩きが出来た。山伏峠~菰釣山のブナは年々元気がなくなっているように思われる。倒木も多いし、樹肌が荒れたブナが目立つ。なかにはキノコがはえ末期的なブナもあった。 尾根はやせ細り、左右が崖のように切り立った場所も多かった。西丹沢で一番自然が残っていると言われる菰釣山周辺がこの状態では、丹沢山塊は近い将来荒れたつまらない山になるかもしれない。期待していた山野草の花もほとんどなかった。それでも丹沢の表尾根を歩くよりはましだ。殆んど他の登山者にも会うことはなく静かだった。沢から吹き上げてくる心地よい風。空気も爽やか。この日下界では30度を越えていた筈。幹周り3メートル以上の大ブナは残念ながら見ることはできなかったが、ミズナラと合体したブナや異形のものを見ることが出来、それなりに収穫があった。でも往復6時間のアップダウンの連続のコースは少々こたえた。
異形のブナ、平成14年7月14日撮影
整然とした尾根道、平成14年7月14日撮影
○ジパングの語源新仮説?
黄金の島ジパング、よい響きである。 小生、最近ブナの森を写真やテレビそれに実体験から、黄金の島ジパングと言う語源 はブナの国から来ているのではないかと、勝手に想像した。
太古の昔から日本の国土の殆んどはブナの森で覆われていた。数百年前のある秋、一 隻のスペイン船が日本近海を通過した。キャピタンが海上から遥かその島を見たと き、夕日に照らされ島全体が黄金のように輝いていた。 その後その国では金が採掘されたとの噂も聞き、黄金の島伝説が作られた。
長い船旅をした船員にとって何よりのご馳走はブナの森が作り出す新鮮で清浄な水で あった。 野生動物もたくさんいるし、ブナの実をはじめたくさん果実がその島にはあった。ま さに黄金の島ジパングである。
○何をしても怒らないブナ
ブナの巨木は300年以上その場所にじっと黙って立っている。殆んどが人間により切り 倒され、焼かれ、捨てられても辛抱強く黙って立っている。 文句は一切言わない。仲間のブナがたくさん伐採されてもゆったりと大地に根をはり 仁王様のように黙って立っている。 そしてたくさんの仲間を切り倒した人間に対しても優しく受入れ、心を和ませてくれ る。人間にはなにも要求などしない。怒らない。怒鳴らない。キレない。攻撃しな い。ただ黙ってそこに立っている。 寒さにも、雪にも、暑さにも、豪雨にも、台風にも、落雷にも、旱魃にも、山火事に も、その他のあらゆる自然災害にも負けず、じっとその場所に黙って立っている。
そんなブナに惹かれる。
宮沢賢治は「雨にも負けず・・・」の詩をこんなブナの姿を見て創ったのだろうか。 当時岩手県にはたくさんのブナの森があったはずだ。
○シダンゴ山
神奈川新聞(平成14年7月14日付け)に
楽しくハイク・かながわコースガイド -10-
「アセビの群落と針葉樹の森」
このようなタイトルだと是非行ってみたい気持ちになる。 ところが世の中そんな甘いものではない。 実態は次のようなタイトルになる。
「植林したアセビと荒廃した植林スギの森」
タイトルの書き方によって読者の受ける印象が違ってくる。
シダンゴ山には自然が殆んど残っていない。 ほんの僅か宮地山付近に自然木があるだけだ。